データ活用やデジタル技術が急速に進化し、アパレル業界においてもECが販売チャネルとしてシェアを拡大しつつある一方、実店舗のシェアは一部の小売りチャネルを除き伸び悩みの状況にあります。また、SNSが消費者の購買動機に与える影響力が高まる中、プロモーションやマーケティングの手法は大きく変化しています。加えて海外や異業種から新たなプレーヤーが参入しており、当社ではこうした市場環境の変化を重要なリスク要因ととらえております。
このような中で、新たなデジタルテクノロジーを企画、生産、販売、物流、事業マネジメントなどのあらゆる局面においてプロアクティブに取り入れていくことは、業務プロセス全体の生産性向上にとどまらず、企画精度の向上や、サプライチェーン全体の効率化、サステナビリティの強化にも寄与します。こうした取り組みは、非価格競争力の飛躍的な向上にもつながると認識しております。
当社のDX戦略は、「基幹システムとクラウドサービスの連携」、「業務プロセス改⾰」、「デジタルサービス展開」の3つの柱を中心に展開しています。
基幹システムを中心に、クラウドサービスとの戦略的連携を推進しています。この取り組みにより、以下の成果を実現しています。
当社は、クラウドをベースとしたワークフローの技術を業務プロセスに導入することにより、業務の効率化とペーパレス化を推進し、時間と場所にとらわれない働き方の実現に取り組んでいます。また通関やフォワーダーとデータを直接的に連携させることにより、業務スピードの向上を図っています。今後は、トレーサビリティの確保に向け、海外の委託工場や原材料調達先とのデータ連携強化にも注力してまいります。
業務プロセス改革KPI
EC事業においては、パーソナライズ機能の強化やレコメンドの導入により、お客さま一人ひとりに最適な商品提案を実現します。また、実店舗とオンラインの融合を進め、シームレスな購買体験を提供します。顧客データの活用においては、購買履歴や行動データの分析により、より精度の高いマーケティング施策を展開します。
デジタルサービス展開KPI
DXの推進においては、社員一人ひとりがデジタル技術に関心を深め、日々の業務の中で、絶えずデジタルを活用した業務改革に向けた意欲を持ち続けることが必要です。
当社はこうした意識とスキルを高めていくことを目的に、オンデマンド学習プラットフォームを導入しています。今後は、習得目標を設定し受講の後押しを行っていくとともに、営業現場における生成AIの活用方法、ノーコードツールによるデータ分析や情報共有方法などについて、ハンズオン型の社内セミナーの頻度も高めてまいります。
リスキリングKPI
全社横断的な「DX推進チーム」を母体として、取締役と主要な執行役員が参画し、情報共有と課題設定、進捗確認を繰り返し、スピーディなアウトカムにつなげる取り組みを行っています。定例会議にはメインベンダーも参画し、最新のテクノロジーに関する知見の取り込みや、デジタルサービスの導入を行っています。
外部パートナーとの強力なパートナーシップにより、専門的な知見とサポート体制を確保し、技術支援とプロジェクトアドバイスにより、DX施策の確実な実行を図っています。
定例進捗会議を通じて、各施策の進捗状況を確認し、課題の早期発見と解決を図っています。この会議体では、現場の声を直接吸い上げ、必要に応じて計画の修正や追加施策の検討を行い、着実なDX推進を実現しています。
当社は、DX推進における情報セキュリティの重要性を認識し、「安全・安心なデジタル環境の実現」を目指します。お客さまの大切な情報を守り、安定したサービスを提供するため、包括的なセキュリティ対策を実施しています。
サイバーセキュリティ対策として、最新のEDRおよびMDRを導入し24時間365日監視体制を敷くとともに、データおよびプログラムのクラウド上でのバックアップなどの仕組みを構築してまいりました。またインシデント発生時の対応体制について、システムセクションが初動対応に当たり、会議体を設置するとともに、迅速な原因解明と復旧に全力を挙げて取り組めるよう、エスカレーション(報告と指揮・命令)ルールの明確化と主要ベンダーとの連携体制を文書化し、定期的な実地訓練を行っています。
クラウド環境におけるセキュリティ確保のため、高度なセキュリティ機能を活用しています。データの暗号化、厳格なアクセス制御、多要素認証の導入により、情報資産を確実に保護しています。
社内ネットワークは、最新のファイアウォールと不正アクセス検知システムにより保護されています。リモートワーク環境においても、安全な通信を確保し、場所を問わず安全な業務遂行を可能にしています。
アクセス権限の定期的な見直し、システムログの監視、セキュリティパッチの適用など、日々の運用管理を徹底しています。定期的なセキュリティ監査により、対策の有効性を確認し、必要な改善を行っています。
全従業員を対象としたセキュリティ研修を年数回実施し、セキュリティ意識の向上を図っています。
また、eラーニングシステムを活用した継続的な教育により、人的要因によるセキュリティリスクの低減に努めています。
セキュリティインシデント発生時には、直ちに初動対応チームが編成され、影響範囲の特定と被害の最小化に努めます。経営陣への報告、関係機関との連携、お客さまへの適切な情報開示を含む、包括的な対応体制を整備しています。
重要システムのバックアップ、代替手段の確保など、事業継続計画(BCP)に基づく対策を実施しています。定期的な訓練を通じて、緊急時対応の実効性を高めています。
デジタル化の進展に伴い、より高度なセキュリティ対策の必要性が増しています。今後は悪意あるAI活用など新たなサイバー脅威への対応を進めてまいります。また、国際セキュリティ認証の取得を目指すとともに、クラウドセキュリティの一層の強化と、専門人材の育成にも注力してまいります。
限られた時間内でのセキュリティ重視のインフラ刷新 ― 自社内 AWS ナレッジと Amimotoの連携による3週間での迅速移行
AMIMOTO/システム運用・セキュリティ管理チーム生成 AI を活用し社内業務効率化と 450 時間超の工数削減を実現。Amazon Bedrockを衣服デザイン等に適用、デジタル人材育成を推進
AWS Bedrock/ガーメントグループ・DX推進チーム